最高裁判所平成19年6月7日判例について

 6月7日にクレジット会社に対する過払い金返還請求事件の判決が最高裁判所でありました。既に「真」さんからコメントが出ていますが、私の印象も少し述べさせていただきます。
 判例のポイントとして以下のことが挙げられます。
 1.原則として、過払い金発生当時に他の借入金債務が存在しない場合には、その後に発生する債務に充当するということはできない。しかし、当事者間での充当の特約がある場合、または特約がなくても契約内容に充当する旨の合意があるものと解することが相当な場合には、将来的に発生した債務に充当することができる。
 2.上記1についての前提として、基本契約があること。

 よって、一度完済した後で新たに基本契約を締結し直している場合(書面上、契約書を再度作成したという形式的な点ではなく審査を受け直した場合など実質的に契約が別と考えられる場合)には、将来的に発生した債務に充当が可能なのか、はっきりしません。
 今後の実務での影響がどうなるか、しばらくは見守る必要がありそうです。