過払い金返還請求に関する最高裁新判決について 2

 こんにちは。

 少し古い話になりますが、7月19日に過払い金返還請求に関する新しい最高裁判所の判決が出ました。

 内容は、前の取引を完済して3ヶ月後に借り入れた取引について、その利息の計算方法をどのようにするべきかがポイントとして争われた訴訟でした。

 控訴審では原告(借主)の主張を認めて前後の2つの取引を、2回目の金銭消費貸借契約締結の際に与信審査を形式的な書面審査のみで行った点などを勘案して、1つの取引であると認定して、利息の計算は一連のものとして行うことを認めていました。
 
 これに対して、被告(貸主)は、新たに金銭消費貸借契約を締結し、与信審査も行っており、前後の2つの取引は全くの別契約であると主張し、利息計算の際には個別に計算すべきだとして上告していました。
 
 最高裁は、控訴審での裁判所の判断を支持し、上告を棄却しました。

 今回問題となった論点は、実務上非常に重要なポイントになっています。一連で計算するのと、個別で計算するのとでは、金額が数十万円変わってくるのが通常で、ケースによっては、一連で計算すると過払い状態なのに、個別計算をすると債務が残った状態になってしまうこともあります。

 空白期間が3ヶ月ということですので、私の感覚では実務上当然に一連の取引として解決すべき事案であると思います。今回の判決は、貸主側の上告を棄却していますので、表面上は原告すなわち消費者側の勝訴ということですが、いざ内容を吟味すると、見方によっては3ヶ月より長期の空白期間(特に1年以上の空白期間)があった場合には、別取引であるという主張をする側の論拠として利用されてしまう可能性も秘めた判決のように思います。
 
                    司法書士 馬ちゃん